CHIMED ENKHTOGTOH

BUYAN LLC / 社長

フェニックスでのあなたの役割について教えてください。

私たちはモンゴルでカシミヤをメインに製造を行っている工場で、私は生産に関する全体の総責任者として経営面と製造面のすべてをみています。モンゴルのカシミヤは、遊牧民文化に端を発する伝統的な素材の一つで、寒暖の差が激しい厳しい環境だからこそ生まれた天然のファイバーです。この素材を扱い、世界へ広めていくということは、モンゴルの伝統を守り、伝えていく仕事だとも思っています。
私はロシアの服飾学校でニットを専攻して卒業しました。その後、カシミヤブランドのゴビ社が事業を開始したときにデザイナーとして採用され、1981年から91年まで10年ほど勤務し、私のキャリアがスタートします。大きな転換期は、1990年にモンゴルが民主主義に変わり、ゴビ社の一部であった試験用の工場をブヤン社が購入したことです。モンゴルの歴史上、初めて民営のカシミア工場が誕生しました。ブヤン工場が始まる前からデザインの専門部署で働いていた私は、カシミアでデザイン性のあるニット製品を目指しました。その背景には、ゴビ社をはじめ、それまでのカシミア製品にはクラシックなデザインの服しか存在しなかったことがあります。これが成功し、私はビジネスとして大きな経験を積むことができたのです。こうした企画やデザインと、もの作りへのこだわりが脇坂さんと共鳴して、現在のパートナーシップへ繋がっていったと思っています。

仕事や会社において、これから挑戦したいこと、目指していることについて教えてください。

私たちはオフィスだけでなく工場も良い状態に保つことを大切にしています。一日のほとんどを過ごし、美しい製品を生み出す場所は綺麗であるべきだし、その方がすぐに汚れや違和感に気づくことができるのです。工場の在り方も含めそれがブヤンのひとつのスタイルだと思っています。工場は国が発展するための基礎です。若い子は新しい仕事に関心が行ってしまうけれど、楽で簡単な仕事なんてありません。やはり、修行を積んで技術を極めた先に、プロフェッショナルとしてのリスペクトを得られるのだと思います。
こうしたことも含め、常になにかに挑戦していくのもブヤンのスタイルでしょうか。原毛の新作や素材の開発、染めの提案なども行っていますが、30年間の私たちの仕事は、模索と成長、そしてプロフェッショナルへの挑戦であったと思います。そのおかげで、たくさんの経験を積みました。モンゴルの伝統的な素材を使い、ファッションを通して社会的使命を果たしたいと思っているのです。そのために工場も常にアップデートを続けていますし、新しい素材の提案も続けていくことが使命だと思っています。

仕事以外で挑戦していることや楽しみにしていること、趣味などについて教えてください。

よく仕事をしながら、仕事以外の世界の発展を知り、興味深い場所へ旅行に出掛けることに興味があります。モンゴルのことわざに、“人はものを見て目が開く”というのがありますが、いろんなものを見た分、人は成長すると私は思っています。ですので、社員であるエンジニアや技術者のスタッフもいろんな所へ連れて行きます。仕事以外では、このようなイベントをいつも計画しています。仕事は忙しいですが、社員の皆さんと一緒に休養の時間を作り、世界の発展に触れ、輸出先の国を知り、訪問することも大事なことです。展示会にも参加しますが、このような旅行の企画もしています。
また、娘が二人ともファッションの職業を選びました。二人ともすでに学校を卒業して、それぞれの道で働いています。長女は、デザインとマーケティング、次女はスタイリストとして仕事をしています。娘二人がこの職業についてくれて、私は嬉しいと思います。同じ専門分野のプロ同士として一緒に仕事ができることも喜びです。

あなたにとってフェニックスはどのような存在、場所でしょうか?

フェニックスは技術レベルの高いもの作りを目指している会社だと思います。きちんと納品のことまで視野に入れたプロフェッショナリズムを感じますね。多くの国やブランドからオーダーを受けますが、そのなかでも新しいアイデアに挑戦している素晴らしい会社です。共に成長していけるパートナーであり続けたいですね。